2025年12月 4年生の学習プランについて
学習が順調に進んでいないお子さんが増えてくる時期であることを踏まえて、1月の組み分けテストに向けた学習計画と対策に焦点を当てて解説します。この時期、やらされ感のある学習から離れ、お子さんの自発的な気持ちが動くような声かけが大切になります。また、今の自分に価値を感じる自己肯定感の上に、努力すればできると感じる自己効力感(学習に直接関係する心情)を育むことが重要です。
下記のチェックをクリックすることで、今月のチェックポイントを個別に動画・要約で確認できます。
必要だと思ったものだけでもよいので、1つでも多く取り入れて頂くことで、より良い学習習慣を習得することが可能です。
動画の内容をすぐに読んでいただけるように「要約」もつけておりますので、こちらも合わせてご参考ください。
▢チェック11月の「組分け」対策のスケジュールができていますか?
組み分けテストの範囲と目的
- 範囲: 1月の組み分けテストは、冬期講習で習う範囲だけでなく、4年生の1年間全体の内容から出題されます。
- 冬期講習の位置づけ: 塾側が「これまでの総復習をする機会」として設けてくれていると意識することが重要です。冬期講習の勉強だけに集中し、1年間の復習ができていない状態でテストに臨むと、点数がボロボロになる危険性があります。
スケジュール作成と優先順位
単元の優先順位: 苦手教科の中でも、さらに復習すべき単元を見極める必要があります。
復習開始時期: 今(11月)から組み分けテストまでの約2ヶ月間で、少しずつ復習を始める必要があります。
時間配分: 普段の授業に追われているため、計画的に行う必要があり、例えば1週間に2時間程度を復習の時間に充てるスケジューリングが必要です。
取捨選択: 2ヶ月で約16時間程度の復習時間しか取れない場合、全教科の全範囲を復習するのは不可能です。
教科の優先順位: 算数が苦手など、お子さんの弱点教科に絞って復習に力を入れるなど、取捨選択(死者選択)が重要です。
▢チェック2 【組分対策】国語の復習すべきポイントを知っていますか?
知識(語彙力)の強化
- 最重要課題: 読解問題の成否を最終的に決めるのは語彙力です。
- 復習対象: 漢字学習、語句、慣用句は毎日少しずつ続けて、節目(この時期)に復習をしてください。
- 具体的な知識復習方法: 過去1年分の月例テストを出してきて、そのテストの中で間違った語句を全て書き出し、覚え直します。正解していたものも短期記憶である可能性があるため、含めてやり直すことが大事です。
- 慣用句の優先順位: 4・5年生のテストでは、体のパーツ(首が回らないなど)を含む慣用句が最もよく出題されるため、優先的に復習すると効果的です。
読解問題の復習
- 長文読解の復習方法: 全ての長文問題をやり直す時間はないため、過去の月例テストの中で最も点数の悪かった読解問題の「大問一つ」を選び、やり直します。
- 確認事項: 解き方や読み方を確認します。例えば、選択肢を二つに絞り込めたが、本文に戻って確認しなかったために間違えたなど、ミスの原因を特定します。
- 現在の読解スタイル: 質問を先に読むなどのテクニックは今は早すぎるので避け、まずは長文をしっかり読み、内容を理解することに注力します。
- 説明文なら中心文を。
物語文なら気持ちや場面の変化を意識しながら読みます。
▢チェック3 【組分対策】社会の復習の仕方を知っていますか?
基本知識の徹底
- 重要性: 地理の学習は5年生の夏休みまで続くため、今のうちに基本知識を完璧にしておく必要があります。
- 最優先事項: 県名や県庁所在地を完璧に(漢字で書けるように)しておきたいところですが、多くの場合忘れているのが普通です。
- その他の基本: 大きな川の名前、平野の名前、山脈の名前なども確認が必要です。
- 効果的な復習方法: 白地図に地名などを自分で書き込み、トイレの壁に貼るなど、日常的に目に入るようにするのが効果的です。
- 過去問の活用: 過去の月例テストで点数が悪かった部分は、苦手な部分である可能性が高いので、やり直しを通じて知識の定着度を確認します。
丸暗記からの脱却
意識改革: 理科社会を後回しにして6年生でなんとかする、という考えは30〜40年前の古い感覚であり、現在は通用しません。
入試を意識した問題: 4年生の終わり頃から、単なる名称を答えさせる問題だけでなく、現象と原因をつなぐ(因果関係を問う)問題が出始めています。
対策: 丸暗記だけでは通用しません。リード文の中に隠されたヒントや、主体者の意図を組み取れているかをチェックするため、過去の因果関係を問う問題をやり直すことも必要です。
▢チェック4 【組分対策】理科の重点復習単元を知っていますか?
苦手単元の特定と対策
- 理科の特徴: 週ごとに単元が変わり(例:植物の次に光)、得意・不得意が明確に出るため、成績が上下しやすい教科です。
- 苦手単元の見つけ方: 過去の月例テストの成績推移グラフを見て、点数が悪かった時の単元を特定します。
- 共通の苦手単元: ほとんどの生徒が苦手とするのは、月の動きと電流です。また、昆虫も嫌いな子が多く、復習が必要です。
各単元の具体的な復習
最終目標: 電池1個、電球1個を基準(1)として、直列・並列にした際に流れる電流の量を数値化(例:2倍、1/2)できるようになることです。
昆虫: 完全変態と不完全変態、そして昆虫の冬越し(例:アゲハチョウはサナギの状態で冬越し)をまとめて覚えます。
月の動き: 塾で教わった解法(例:午前3時に南東に見える月はどんな形か)をまず聞いてあげ、その方法に基づいて勉強するのが、お子さんにとって理解しやすいです。
電流: 苦手な子の原因は、電流、電圧、抵抗という言葉の意味が分かっていないことです。
水流の例え:水道管をイメージさせます。
電流=水道管の中を流れる水。
電圧=水を流そうとするポンプの働き(流そうとする力)。
抵抗=流れを妨げようとするもの(水道管が細いと抵抗が大きい)。
実践: 実際に豆電球を直列・並列につなぐ実験をすると理解が進みます。
▢チェック5 【組分対策】算数で復習が必須の単元を知っていますか?
計算力の徹底と工夫
- 4年生の最重要課題: 四則混合計算の習得、特に工夫しながら正しく計算できているかがポイントです。
- 工夫の例: 図形問題で円を含む場合、3.14の掛け算を1回で済ませるために、分配法則の逆(まとめてから3.14をかける)を使うこと。
- 復習: 過去の月例テストの計算問題をチェックし、単純なミスだけでなく、工夫しなかったために時間がかかって間違えたミスがないかを確認し、類題を解きます。
- 逆算: 必ず1問出題され、配点が高い(5~6点)ため、途中が四角になっている問題の算数的に正しい解き方ができているかを確認します。
重要単元の確認
- 数の性質: 公約数・公倍数で「すだれ算」に頼りすぎず、数の感覚(例:大きい方を2倍、3倍して確認する)を持っているか。また、「7で割って2余る、5で割って3余る」といった問題のタイプを見極める知識があるか確認が必要です。
- 円を使った図形問題: 3.14の計算ミスが多発しやすい分野です。
- 具体的な例(牛小屋のロープ問題): 図をしっかり描き、複数の部分の面積を求める場合、A×3.14+B×3.14… ではなく、連続した式((A+B+C)×3.14)を書いて、3.14の計算を最後1回だけで済ませる工夫が必須です。
- 文章題: 線分図の書き方が重要です。左側を揃える、どこからどこまでか線を引いて示すなど、正しい書き方ができているか、過去のテストで見直します。
その他:単位換算(特に面積と体積の単位換算)も重要です。
▢チェック6 忘れていることを気にしすぎていませんか?
忘れるのは普通のこと
- 脳の発達: 小4の子どもは、短期記憶は得意だが、長期記憶はまだ苦手な年齢です。忘れてしまうのは普通のことであり、優秀な子でも必ず忘れます。
- ポジティブな捉え方: 「すぐ忘れてしまう」と心配するのではなく、「今忘れ物に気がつけて良かったね」と捉えましょう。
- 声かけ: 「なんでこんな簡単なこと忘れるの?」と叱るのではなく、「ここで忘れちゃったことをよく見つけたね。偉かったね」と褒めることがポイントです。
忘れ物の度合いに応じた復習方法
ほぼ大丈夫: テストの間違い直しだけを行う。
ものすごくたくさん忘れ: テキストを出してきて、説明部分をもう一度読み、語句を覚え直す。
少し忘れ: テキストのまとめのページ(確認問題、一問一答型)を解いて、知識を思い出す。
▢チェック7 塾の先生とコミュニケーションが取れていますか?
先生との関係構築
- 顔を売る: 送り迎えの際、「〇〇の母です。いつもお世話になっています」と、先生に繰り返し挨拶し、親の顔と子どもを結びつけてもらうことが大切です。頻度が重要です。
- 相談のタイミング: 先生は送り迎え時など忙しいため、長話は避け、真剣な相談は予約をして行うべきです。
- 親の協力姿勢を示す: 相談する際は、子どもが頑張っていること、そして親も最大限協力していることを伝え、真剣な気持ちを伝えるべきです。
先生に協力を仰ぐ具体的なケース
子どもの様子の確認: 先生に塾の授業でのお子さんの様子(例:キョロキョロしていないか、ぼーっとしていないか)を聞いて、学習意欲の低下や、疲れ、睡眠不足などの兆候を判断する材料にします。
図や式を書かない問題: 算数で子どもが親の注意を聞かない場合、信頼している塾の先生から「ちゃんと書け。理由はこれだ」と指導してもらうと効果的です。
課題量が多い場合の調整: 課題量が膨大で手一杯の場合、家庭内で勝手に宿題の取捨選択をせず、正直に先生に相談します。「絶対にやるべきもの」と「やっておく方がいいもの」の2種類に分けてもらうようお願いすると助かります。
真剣な相談: 難しい要望や断られる可能性が高い相談の場合、ご両親揃って相談に行く方が、話が真剣に受け止められ、無理が通りやすいという結論があります。
▢チェック8 勉強時間をとって、真面目にやっているのに、成績が伸び悩んでいる?
伸び悩みの原因と危険性
- 危険な状態: 4年生のこの段階で勉強が回らなくなっているのは危険です。なぜなら、5年生では内容が難しくなり、課題量も増えるため、今解決しなければ半年後はさらに大変な状態になるからです。
- 主な原因:
- 大量演習の繰り返し学習や表面的な手順だけの丸暗記に陥っていること。これは定着せず、すぐに忘れ、「やらされ感」につながります。
- 今の単元を理解するための基礎的な知識や考え方が不足していること。
解決策と学習の質
- 質の高い復習: 繰り返し学習を行う際も、機械的に手順を繰り返すのではなく、基本に立ち返り、「なぜその方法で解けるのか」という理由を思い出しながら復習することが大切です。
- 親子での対話: 親御さんが「なぜそれで解けるの?その式で何が出たの?」とニコニコと質問してあげることで、子どもが自分で考える訓練になります。
- 納得理解(快感): 「なるほど、そうか」と理解する感覚は子どもにとっても快感であり、勉強を面白くするための鍵です。
- 「お母さんに教えて」: 問題文を丁寧に読み、図や式を書いて考えた上で、親が「これどう解いたの?お母さんに教えて」という形で促すことが、子どもの説明する力を養い、良い勉強になります。
スケジュール管理の工夫
- 余裕を持たせる: 4年生の間は、スケジュールに余裕を持たせ、自由な時間やお子さん自身が「遊べる時間」を確保することが必要です。
- 自由裁量権: 親が一方的にスケジュールを決めるのではなく(Excelなどで)、子どもにある程度の自由裁量権(例:「7時より8時にしたい」)を認め、相談して決めます。
- 前夜の確認: 長期間の予定は忘れるため、前日の夜、就寝前に翌日の予定を確認します。
- 成功の予感: 確認時には、まずその日の良かったこと(例:集中できたこと)を褒め、翌日の勉強量は「ちょっと頑張ればなんとかなりそう」という、成功の予感が持てる量にすることが重要です。
▢チェック9 家で親が教え直すことが、増えていませんか?
授業の受け方の指導
- 聞き続けることの重要性: 授業中に分からなくなっても、途中であきらめず聞き続けることを教えます。分からなかった点で考え込み、その後の先生の説明を聞き逃すという聴き方が最も良くありません。
- 対処法: 分からなかったことは「ちょっと横にどけておいて」、先生の今喋っていることを理解しようと努力し続けるよう伝えます。
事業後の振り返り(短期記憶の活用)
- 目的: 子どもは短期記憶が得意なので、授業が終わって帰宅した時が最も重要です。
- 方法: 毎日、全科目について、1教科あたり10〜15分程度の短い時間で「今日算数でどんなことやったの?」「先生は何が大切だと言ってた?」という思い出し作業を行います。これにより、教え直す必要が減ります。
板書(ノート)の重要性
- 分かった気になっていないか: 先生の授業が上手なため、子どもは「分かった気」になってしまい、板書を疎かにしがちです。家に帰って模範解答だけが赤字で書いてあっても、解き方が分からなければ意味がありません。
- 板書の方法: まずは「先生の板書を、たった2問だけでいいからそっくりそのまま移してきなさい」という指示から始めます。
- 図の書き写し: 先生は図や式を板書しているが、子どもは答えや式だけを写しがちです。特に算数では、先生の図は非常に精緻で注意深く書かれており、それを書き写すことが思考の助けになります。
親の限界
注力すべき点: 親は、内容を教えるのではなく、「どうすれば自分で理解してくるか」という学習方法に関するアドバイス(聴き方、板書の仕方)に注力すべきです。
認識: 問題の難しさが上昇しているため、親が勉強内容を隅から隅まで教え直すことには限界が近づいています。
▢チェック10 勉強が終わったら、〇〇していいよ?を使っていませんか?
報酬の伝え方のリスク
- 問題点: 「勉強が終わったらYouTube見ていいよ」という言い方は、多くの場合、子どもに「早く終わりたい」という気持ちを抱かせ、その前の勉強が雑になることを助長します。
- 現代のメディア: 特にYouTubeは終わりがなく、次から次へと動画を見てしまい、勉強への悪影響が大きいです。昔のテレビ番組のように時間で区切れない点がリスクです。
解決策と家族の会話
会話内容の例: 友達関係、親の仕事内容(子どもが聞いてもいい範囲)、テレビのニュース番組など、勉強以外の話題を積極的に入れ、子どもの頭脳と精神的な発達を促します。
ルールの設定: 「勉強が終わったら」ではなく、YouTubeをやって良い時間を固定して決めます。その時間まで勉強を終えていようがいまいが、その時間はやって良い、それ以外の時間はダメ、というルールを徹底します。
遊び時間の確保: 勉強以外の遊びの時間や、自由時間もスケジュールに組み込んであげます。
会話の質の向上: 家庭内の会話が、最終的に全て勉強の話で終わることがないように注意します。
各塾の学習ポイントのチェック
SAPIXの12月の学習ポイント
四谷大塚/早稲田アカデミーの12月の学習ポイント
日能研の12月の学習ポイント
浜学園の12月の学習ポイント
まとめ
この時期の組み分け対策は、料理に例えることができます。
これまで1年間、毎週新しい食材(単元)を使って色々な料理(問題)を作ってきました。冬期講習は、新しい食材も少しありますが、主に今までのレシピを復習する集中レッスンです。しかし、1月の組み分けテストは、1年間のレシピ全てから出題される卒業制作のようなものです。
この卒業制作で成功するためには、直近の新しいレシピ(冬期講習)に集中するだけでなく、過去のレシピ帳(月例テスト)を開き、特に失敗した料理(苦手単元)を洗い出し、「なぜ失敗したか」を確認し、基本の調理法(計算の工夫、図の書き方、語彙力)を週に2時間ほどかけて丁寧に磨き直す必要があります。
単に手順をなぞって覚える(丸暗記)のではなく、「なぜこの工程が必要なのか」を納得(納得理解)しながら取り組むことで、初めて一生モノの料理スキル(長期記憶)になるのです。