2025年12月 5年生の学習プランについて

スケジュール作成と取捨選択の必要性

• 復習時間の確保の重要性: 組み分けテストの出題範囲は、5年生の1年間で習ってきたこと全てが対象です。冬期講習の勉強に集中するだけでは対策になりません。
• 具体例（社会の地理）: 現在（11月）は歴史を熱心にやっているため、地理の学習から3ヶ月間（9月、10月、11月）離れている子がほとんどです。地理が得意だった子も忘れ、苦手だった子はほとんど忘れている状態で、組み分けテストでは地理の問題がたくさん出題されます。
• 冬期講習の勉強だけで組み分けテストに臨むと、点数が下がり、予定されたクラスよりも下のクラスで6年生の授業が始まってしまうことがよくあります。
• 日々の難しいカリキュラム学習（例：算数）に追われているため、復習時間を確保するには、「この曜日のこの時間にこれをやる」といった具体的な予定を作成する必要があります。
• 復習時間を確保するためには、現在の塾の課題（カリキュラム学習）についても取捨選択を意識し、内容を計画的に進める必要があります。
• 組み分けテストの範囲: 5年生開始から冬期講習までが基本ですが、4年生の内容が出題されることもあります。
• 5年生で（社会の一部を除き）受験に必要な知識はほとんど全て教え終えつつあるため、今後は習ったことを忘れないようにすることが肝要です。
• 忘れることの意味: 完全に記憶が消えるのではなく、記憶の奥深くにしまい込まれ、問題を見た瞬間に「あれを使う問題だ」と発見しにくくなることです。

復習への意識

普段の授業の課題の取捨選択と、復習すべき内容の選択という2つの選択が勝負の分かれ目となります。

組み分けテストに臨む意識として、「復習をするいいチャンスが訪れた」という前向きな気持ちで取り組むべきです。

漢字・語彙・慣用句の復習

• 国語の復習は、読解にまで広げると時間がかかりすぎるため、まず漢字・慣用句・語彙から始めるべきです。
• 復習方法: 過去の月例テストなどから間違いをリストアップし、それを覚えるのが最も効率的です。
• 優先順位の高い間違い: 意味を考えないと正解できない漢字（同音異義語、対義語、同類語など）を中心的に復習します。
• 慣用句の具体例: 出題率が高いのは体のパーツ（例：頭、首、耳）が入った慣用句です（例：「耳が痛い」の意味など）。過去問で間違いがあった場合は重点的に復習します。
• 暗記方法: リストアップした間違いをトイレの壁に貼って、入るたびに見ておく方法などが有効です。

精神的なサポート

• 子どもが忘れていることに対し、「なんでそんなに早く忘れるの」などと叱ることは絶対に避けてください。子どもが「自分は記憶力がない子だ」と思い込み、覚えることを嫌がるようになります。
• 代わりに、「今見つかって良かったね」という言葉を直前まで繰り返し使うべきです。
• 目標設定: 完璧な復習は不可能なので、今よりも良い状態を作るくらいの気持ちで臨みます。

読解問題の復習

重点復習: 苦手な分野（物語文か説明文か）に絞り、せいぜい1～2問を少ない量をじっくりと読むことに集中して復習すると効果的です。

読解は冬期講習でも扱うため、復習は時間が残っている場合のみ、過去の得点が低かったテスト問題（月例や総合テスト）を丁寧にもう一度解き直します。

解き方の確認: 物語文では感情の動きに注目して線を引くなど、塾で習った指導方法を実践しているかを確認します。

選択問題の対策: 消去法を使い、迷う選択肢は「～だから」「～だ」のように要素に分けて、どちらか片方が間違っていないかを確認して間違いを減らす練習をします。

記述問題の対策: 5年生で出題される記述問題のほとんど（9割）は、文章中から言葉を探し、それを並べ直し、語尾を整えるという手順で完成します。

地理の復習の徹底

• 冬期講習がほとんど歴史なのに対し、組み分けテストでは地理が半分出題されるため、地理の復習は必須です。これを怠ると、点数が20点分ほど大きく下がる可能性があります。
• 使用教材と確認事項: 白地図や教科書を使います。
  • 基礎知識: 地図記号を覚えていない、県庁所在地は言えるが漢字で書けない（県名自体も）、川や平野の名前を漢字で書けないといった基礎的な部分から振り返ります。社会では漢字で書けないとバツになります。
• 復習方法: 白地図の中に、忘れがちな地名や平野の名前を書き込んで確認します。
• 産業別地理の優先: 地理は地域別と産業別の2つの切り口がありますが、知識が重複しているため、産業別地理の復習から始める方が効率的で時間が少なくて済みます。
• 優先テーマ: 農業、水産業（米問題など時事問題も意識される）、工業。生産量の順位は、すべて覚えるのではなく、せめて3番目くらいまでを覚えておきます。
• 実践的な復習: 過去の育成テストやカリテ（出題範囲が限定されたテスト）から農業分野の間違いを取り出し、その内容を白地図にまとめていく勉強が非常に有効です。

知識分野の復習を優先

• 苦手とする子が多い計算で解く理科（例：化学の気体の発生量や中和、物理のてこ・バネ）よりも、知識があやふやになっている部分の確認が重要です。
• 生物分野は暗記で済むと思われがちですが、忘れやすい分野であるため、実は弱点になっていることが多いです。

組み分けテストで出題される可能性の高い単元

1. 月の動き: 4年生から習っていても、動くと解けなくなる子が多い。丸暗記ではなく、太陽から地球、地球から月への線を引いて角度を想像しながら解く方法を理解すると、知識はほとんど不要になります。
2. 星の動き: 北の空（北極星中心に左回り）と南の空（見えない南十字中心に右回り）の違いを理解します。特にSAPIXのように南半球の地点（例：アデレード）の問題を好んで出す塾もあります。
   • 暗記すべきこと: 夏の/冬の大三角や北極星など、最低限（せいぜい10個程度）の重要な星や星座の名前は覚えます。
3. 電気・電流:
   • 基礎理解: 電流（水道管の水）、電圧（ポンプの力）、抵抗（水の流れを妨げる力）のイメージを頭の中で構築できているかが大切です。
   • 応用対策: 配線図（曲線）を理解しやすい回路図（直線）に書き直す作業も必要です。
   • 電磁誘導: 右手を使ってN極の向きを確認する練習を多く行います。テスト中は鉛筆を置いて右手で作業するよう習慣づけることが重要です。
4. 人体:
   • 重点分野: 消化吸収と血液循環、またはその組み合わせ問題が非常によく出題されます。
   • 消化吸収の復習: 口で何が消化され（例：デンプンが麦芽糖に）、何の消化酵素（例：唾液アミラーゼ）が働き、最終的に何が毛細血管に、何がリンパ管に吸収されるか、といったプロセスを自分で書いてまとめます。
   • 血液循環の復習: 静脈血と動脈血、動脈と静脈の違い、そして二酸化炭素や不要物が最も多い/少ない血管がなぜそうなるのかを自分の言葉で説明できるようにします。例：腎臓から出る腎静脈は不要物が最も少ない（腎臓が不要物を濾し取るため）。

生物分野（植物・動物）の効率的な復習

• 植物・動物が苦手な場合は、以下の典型的な実験問題を復習します。
  • 光合成: アサガオを使った光合成実験。
  • 呼吸: 大豆の発芽を使った呼吸の実験。
  • 蒸散作用: 4本の枝を使った蒸散量の計算問題（A, B:表にワセリン, C:裏にワセリン, D:葉を取る）の解き方を確認します。

解法の転換（割合から比へ）

• 夏休み以降、算数の解き方が割合（小数計算）中心から比（ひ）で解く問題へと大きく変わっています。
• この転換期に、過去の方法（割合中心）に固執していると、6年生で難易度が上がった際に対応できなくなるため、できるだけ早く比を使う解き方に切り替える必要があります。
• 復習対象: 比を習った後のテスト（夏休み以降）の間違いを重点的に見直します。
• 重要ポイント: 解き方が重要であり、単に答えが合っていれば良いわけではありません。テストの解説と同じ方法で解けているかを確認します。

必ず復習すべき単元

親の関わり: 図形の概念を説明させ、「よく分かっているね」と褒めてあげることで、図形が苦手な子（特に女子）の自信を高める効果があります。

計算問題（規則計算・逆算）:

少数・分数混合の規則計算: ほとんどの場合、分数に統一する方が解きやすいですが（9割）、少数が早い場合もあるため注意が必要です。分数と小数の相互変換の知識（例：1/8=0.125）や、分配法則、部分分数分解といった工夫ができるかを確認します。

混合の逆算: 複雑で間違いやすいですが、入試でも多く出題されるため練習が必要です。

学習の確認: どの順序で計算しているか、途中経過のメモ（余白の使い方）が適切かなど、解く手順をチェックする必要があります。

割合を利用する問題:

食塩水（濃度計算）や売買損益はまだ割合の考え方を使う部分が多く、比の勉強に集中した結果、割合の解き方を忘れていないかを確認するために復習します。

速さ:

逆比の利用: 速さと時間の逆比を使う問題を中心に強化します。速さの問題は入試で必ず1問以上出題される重要単元です。

図形:

比の利用: 底辺比と面積比、三角形の相似の利用が中心です。

注意点: 図が相似に見えるからといって安易に相似を使っていないか、「なぜ相似だと思ったのか」を子どもに質問して、角度の確認などを行わせる必要があります。

復習のレベル設定: 過去問の正答率を見て、志望校の偏差値に合わせて、復習する問題の正答率の目安（例：偏差値65なら正答率35%以上）を設定すると効率的です。

取捨選択による時間の創出

• 組み分けテストの復習時間が確保できていないのは、普段の学習が効率的に回っていない（優先順位の低いものに時間をかけすぎている）根本的な原因がある可能性があります。
• 6年生で問題がさらに難しくなる前に、今すぐ勇気を持って取捨選択を始める必要があります。
• 削るべき課題:
  • 不必要で、今はまだ解けなくてもよい応用問題。
  • もう確実・完全に解けるようになった問題の過剰な繰り返し（類題演習）。
• 優先すべき課題:
  • 基本のやり直しや振り返り。例：SAPIXの基礎トレーニングなど、基礎的な問題は（目的は速さではないものの）6〜7分で1ページが終わる程度を目指して頑張る。

図や式の重要性

• 算数において最も重要なのは図であり、数学（中学校以降）において重要なのは式です。
• 現状: 5年生のこの時期になっても、立体図形の切断や文章題（例：水問題）などで、図を正しく描けていない子が多数います。
• 図や式を書くことの効用:
  • 応用問題を解くための糸口を見つける手段となります（例：図を描いて面積が等しい部分を発見するなど）。
  • ミスが減ります。例：図形問題で周りの長さを求めるとき、「円の一部＋直線部分」という式を最初に書いておくことで、複雑な計算（3.14の掛け算）の後に直線部分を足し忘れるミスを防げます。

習慣化のための具体的な方法

褒める: 最初は不完全な図や式でも、「図を書くようになったね、偉いね」と褒めることで、書く習慣をつけさせます。

事業の板書を写す: まずは先生の書いた板書（図や式を含む）を、授業で2〜3問だけでもそのままノートに写してくることから始めます。先生の板書を写すのは、プロセスの理解を深めるのに最も良い勉強法の一つです。

急かさない: 家庭学習の際、「早くしなさい」と急かすと、子どもは頭の中や暗算でやろうとし、図や式を書かなくなります。「ゆっくりでいいのよ」と言うくらいで良いです。

コミュニケーションの必要性

• あと1年後に受験を控え、志望校や併願校の決定など、重要な相談をするために、今のうちから塾の先生とコミュニケーションを取っておくことが重要です。先生が子どものことをよく理解しているほど、相談の深みが変わります。
• 日常の挨拶: 先生方が忙しい送迎時（授業直前・直後）は、長話せず、明るく名前を言って挨拶を交わすだけでも、先生との信頼関係（「この保護者に信頼されている」という気持ち）を築く上で大切です。
• 真剣な相談: 真剣な相談は事前に予約を取り、時間を取ってもらいます。
• 重要相談時のヒント: 塾の先生が嫌がる可能性のある（例：転塾をほのめかすような）非常に真剣な相談については、両親揃って相談に行く方が話がスムーズに進みやすいです。

先生に相談すべきこと（チェック6・7に関連）

• 図や式を書かない問題: 親が言っても書かない場合は、「先生から注意してもらえませんか」または「宿題ノートを見ながら確認してもらえませんか」とお願いすると有効な場合があります。
• 課題量が膨大で手が回らない場合: 「絶対やるべき問題」と「できればやっておく方がいい問題」に分けていただくよう相談します。

すでに課題の取捨選択をしている場合: 家庭で勝手に課題を調整（取捨選択）している場合は、子どもが宿題不完全で叱られるのを避けるため、必ずその方針を先生に伝えて理解を求めておく必要があります。

学力と得点力

• 「クラスを上げたい/下げたくない」などとプレッシャーをかけると、計算ミスが増え、点数が下がる子どもが多いです。
• 今後1年間は、学力向上だけでなく、得点力（正解できる問題で確実に正解する力、難しい問題は予測して捨てる力）をつける訓練が重要になります。

テストの受け方の指導

1. 全体の見通し: 「始め」と言われてもすぐ書き始めるのではなく、まずテスト全体をざっと見て、問題の構成を把握し、どこから解くか（例：得意な物語文から始める）を決めることで気持ちを落ち着かせます。
2. 具体的な目標設定: 「ミスを減らそう」といった抽象的な目標ではなく、「読みやすい字を書く」や「最後まで問題文を読み切ってから解く」といった具体的な目的を1つだけ持って取り組みます。
3. 残り10分の行動指針: 「あと10分」と気づいた瞬間にパニックになり、考えることを諦めて答えをでっち上げようとするのは間違いです。
   • 正解: 「すべてやろうとせずに、解けそうな問題に集中し、1個でも2個でも丸を増やす」ことを目的とするよう教えます。これは、問題にかかる時間を予測する能力が必要になります。

ミスの分析と対策

作業の雑さ: 図や式を書かない（チェック7）ことが、テストでのミスの原因となります。

子どもは、本当は知識不足や解法選択の失敗である間違いを「ミスっちゃった」という単純ミスで片付けようとすることが多いです。

計算ミスの具体例: できる子でも 2 ✕ 7 = 18 のようなミスをすることがあります。自分はどの段（例：7の段）で間違いやすいかという知識を持つことが必要です。

知識不足のミス: 子どもが「ああ、なんだそのことか」と言った場合は、知識不足であったことを認めているサインです。この場合、その間違いの部分だけでなく、周辺部分も一緒にまとめて復習する必要があります。

時間配分の失敗: 難問に時間をかけすぎてしまうのは、「それまでの時間が無駄になる」という気持ちがあるためです。日々の学習で、「その方法で解くとあと何分ぐらいかかりそうか」を予測する能力を育てます。

問題文の意図の読み取り不足: 問題文の読み方が雑なため、大事な数字や要素を見落としていることが多いです。解き方が分からない時は、「もう一度読み直してごらん」とアドバイスすることが重要です。

タイミング: 実力のある先生をつけるなら、早ければ早い方が良く、5年生のこの時期は遅くありません。

避けるべき戦略:

成績が上がらない期間が続いているのに、単に勉強時間や努力（頑張らせること）を増やそうとするのは、99%失敗します。

6年生の夏休みにまとめて復習させようとするのは、夏期講習がびっちり詰まっているため、復習する余裕がないため失敗します。

過去問対策の位置づけ: 過去問対策は、基礎学力がついた上に応用として積み上げるもの（例：偏差値60の学校には最低55の基礎学力が必要）であり、過去問対策だけで学力は向上しません。

力量ある先生の条件:

• 授業が上手で解説が分かりやすい（必須条件）。
• 戦略設計（スケジューリング）や学習計画を週単位で管理してくれる。
• 課題を増やすのではなく、既存の塾の宿題の量を調整し、最適化できる先生（例：塾の課題の中から重点的に復習すべき問題を選んで指示する）。

注意点: 優秀な先生は通常、現在の受験生（6年生）の指導で空きがないことが多いため、2月（受験終了後）から指導開始できるよう、今のうちに連絡を取っておくことが最も良い方法です。