2025年12月 低学年の学習プランについて


▢チェック1小学校の点数で毎回95点以上をキープできていますか?

対象:小1から小3生に共通。

1. 学校のカラーテストの重要性

  • 学校のカラーテストで毎回95点以上をキープしていることが望ましい。理想は100点を続け、たまに95点を取る程度です。
  • 95点以下は赤信号ではないものの、「黄色信号」と捉えるべきです。
  • 学校のテストで常に高得点を取ると、自己肯定感が高まり、「自分はできる子だ」という認識が受験勉強の基本的な「エンジン」となります。

2. 間違いへの対応と授業の姿勢

  • 間違った問題については、子どもらしい笑ってしまうような間違いであっても、放置するのは良くありません
  • 間違いの中には、子どもの思考傾向や、物事を見る順番・考える順番が現れているため、そこから今後の学習のヒントを見つける関わりが重要です。
  • 間違いを叱ることはせず、まずは一緒に大笑いし、その後「どうすれば同じ間違いをしないか」を話し合います。大きな勘違いがあればすぐに修正してあげてください。
  • 学校の授業がゆっくり進むことで、子どもが「聞かなくてもわかるはずだ」と思い込み、聞く姿勢が変わってしまうことが、後に「いつの間にか分からなくなる」原因となることがあります。
  • 塾の授業(小4の夏休みなどに異分母分数や分数・小数の最終計算を行う)は学校より約2年先取りしますが、学校の授業は「なぜそうなるのか」を身体感覚的に納得させることを目指すため、塾で先取りしていても学校の授業をしっかり聞くことが大切です。
  • 授業参観は、子どもの授業中の姿勢を確認する唯一の機会です。

3. テストの受け方と解き直し

  • カラーテストの点数が下がってきた場合、子どもが問題文をちゃんと読んでいるか確認が必要です。
  • 特に男子を中心に、とにかく一番で解き終わることを目的にする子がおり、問題文を読み落としたり、勘違いをしたりしてミスが増えます。
  • この対策として、間違えた問題を音読しながら解き直すことを勧めます。親が「ここを読んでないでしょう」と指摘するよりも、子ども自身が「あ、こんなところ間違っちゃった」とミスに気づき、気持ちが動くことが重要です。
  • 間違い直しは親も一緒に行いますが、「なんでこんなミスをしたの?」と決して叱責しないよう注意してください。

4. 毎日行うべき学習習慣

学年ごとの目安として、小1なら3国それぞれ10分、小2なら20分、小3なら30分ずつ、決まった時間にやる習慣をつけてください。

教科書準拠ドリル(市販されている2種類を使うとしても)を、算数・国語それぞれ1日1ページずつ、毎日確実に行うことが重要です。時間にして早い子で5分、遅い子で10分程度です。

この習慣は、小4以降の塾での計算ドリルや漢字練習(毎日10分ずつなど)の学習習慣として生きてきます

入塾試験では、整数を使った四則混合計算までの確実な計算力が求められます。計算が不十分な場合は、百ます計算や市販の公文式ドリルなどを使用して補強が必要です。

▢チェック2 塾の冬期講習は、必ずしも受ける必要がないことを知っていますか?

1. 低学年授業の利用法

  • 早期(小3の2月以前)から塾に通っている場合、その授業の多くは、ひらめきや試行錯誤といった非認知能力を高めるクイズ的なものが中心です。
  • 非認知能力は数値化できないはずですが、塾ではテストで点数が出るという側面があります。
  • 低学年の授業に参加させる際のコツは、「子どもが楽しそうに行っていること」に満足し、帰ってきたテストの点数に一喜一憂しないことです。
  • クイズ的な問題は復習しても同じものは出ないため、復習にはあまり意味がなく、授業の中で一生懸命考えること自体が勉強になっている、という意識で参加させてください。
  • 塾に通わせていても、非認知能力を補うために、認知能力を高める学習(計算力と語彙力、漢字など)を毎日少しずつ継続させるべきです。

2. 冬休みの過ごし方と予習の優先

小1・小2生は、教科書準拠ドリルを毎日1ページずつ続けることに加え、教科書の残りを読む程度で良いです。

小3生までは、家族みんなが仲が良い、明るい家庭を作ることが重要です。

年末年始(3連休、クリスマス、お正月)は、レジャーや家族の楽しいイベントを優先すべきです。

小3生は、冬期講習に参加するよりも、2月以降(小4カリキュラム)の予習を家庭学習でやっておくことを優先すべきです。

2月以降は、授業スピードが上がり、板書スピードやテキストレベルも変わるため、事前の知識がないと理解しづらくなります。

▢チェック3 入塾までにやっておくべきことを知っていますか?

1. 予習の進め方

  • 入塾する塾が決まったら、残り1〜2ヶ月で予習を始めるべきです。
  • 目的は、塾のレベル感を知り、少し先取りした知識で授業が分かりやすくなる状態を作ることです。
  • 予習は、問題を解き進めるのではなく、読むことを中心とした「つまみ食い」で構いません。

2. テキストの選択

  • 4年生の塾のテキストを先読みします。
    • サピックスは事前のテキストがないため、四谷大塚の「予習シリーズ」(4年生用)をホームページから購入し、先読みするのがおすすめです。
    • 他の塾でも予習シリーズを利用するか、これまで使ってきた自由自在などの参考書を活用できます。

3. 教科ごとの予習の目安

理科・社会: 前から順番に読むのが難しければ、パラパラめくって面白そうなところから読ませてください。

理科・社会は、近年の入試傾向に合わせて大手塾のテキスト内容が深くなっており、現象の「原因」の説明が非常に詳しく高度になっています。

予習なしで素早い授業の中でこれを理解しきることは難しいので、理社は4年生の1学期部分のテキストをざっと読んでおいてください。

予習シリーズはカラー印刷で写真も多いため、子どもが興味を持ちやすいので推奨されます。

算数: 各単元で例題を2問ずつくらい解いておくと良い。いきなり解説を読まずに自分でやってみて、つまづいたら解説を読み、正解が出た後も解説を読んで理解を深めます。

国語: 問題は解かなくて良く、素材文(長文)をできるだけたくさん読んでおくことを目的とします。これは、サピックスなどの入塾試験に出るような、教科書からは想像できない難しい内容の長文に慣れるためです。

▢チェック4 教えすぎてはいけないことを知っていますか? or「隣で見ている」だけになっていませんか?

1. 教えすぎがもたらす弊害

  • 何でも教えてしまうと、子どもは「待っていれば答えが来る」という感覚になり、自分で考えなくなります。難しい問題に直面すると「解けない」と思い込んでしまい、親の解説を待つ習慣がついてしまいます。
  • 一方、隣で監視したり指示を与えるだけだと、「嫌な時間は待てば過ぎる」という経験を積み、時間を無駄に使う習慣がついてしまいます。
  • 重要なのは、教えすぎず、見ているだけでもない、「適度な関わり」です。

2. 関わり方の具体策

「何が分かっているのか」「何を聞かれているのか」の2つの声かけは、受験勉強が本格化して以降も大切な声かけとなります。

子どもが「わからない」と言ってきたら、いきなり説明を始めるのではなく、「どれどれ、じゃあ一緒に読んでみようか」と、一緒に音読を始めるべきです。音読するだけで子どもが「わかった」となる可能性は高いです。

音読後もわからなければ、「ここで分かっていることは何?」「何を聞かれているの?」という会話を楽しみます。

大人から見ると単純なところでつまづいていることが多いため、それを楽しんであげてください。

具体例: 鳩が3羽いて1羽逃げたという問題で、子どもが「逃げた鳩が3羽のうちのどこにいた鳩なのか」が分からず解けない、というケースがありました。

どうしてもわからない場合は、すぐに教えず、ちょっとしたヒントを与える(例:10人を丸で書いて考えよう)。

▢チェック5 勉強が終わったら、〇〇していいよ?を使っていませんか?

1. 「〇〇したら△△していいよ」の弊害

  • 「勉強が終わったらYouTube(またはゲーム)をやっていいよ」というご褒美を使った学習方法は、「早く終わらせること」が目的化してしまい、勉強が殴り書きになったり、丸付けがいい加減になったりするため、うまくいかないことが多いです。
  • YouTubeは、ただ情報を受動的に受け取るだけであり、能動的な要素が残るゲームよりも、勉強への悪い影響が大きい可能性があります。
  • ご褒美学習をやめる代わりに、YouTubeやゲームをやっていい時間(開始時刻と終了時刻)を予め決めておくことが理想です。
  • もし既に長時間利用している場合は、急激に短くせず、ストレスを考慮して少しずつ(例:翌週は10分短くする)減らしてください。

2. 遊びのスケジュールと会話の質

家庭内では、勉強以外の会話を、勉強に関する会話と同等、またはそれ以上の量行うことを心がけてください。

学習スケジュールを作る際には、まず遊び(外遊びや、家での好きなこと)のスケジュールを先に決めることが重要です。

子どもが遊びから帰ってきたら、その遊びの内容について会話をすることが大切です。

「誰と遊んだの?」「どこで遊んだの?」から始め、「へえ、そうなん」「それでどうしたの?」など、全て同意の言葉を使い、笑顔で興味深げに聞き続けてください

これにより、子どもは「話すことが得意になり」(記述問題に強くなる)、「お母さんは遊びに反対していない」というメッセージを受け取ります。

最もいけないのは、会話が始まると常に勉強の話題で終わってしまうことです。これは子どもに「勉強嫌い」の感情を植え付けてしまう危険性があります。

▢チェック6 【入塾対策】入塾テストの結果に満足できていますか?

1. 入塾テストの結果の捉え方

  • 入塾テストは、入塾可否だけでなくクラス分けを兼ねています。
  • クラス選択の基本的な考え方は、「お子さんの学力の範囲内で、できるだけ上のクラス」が良いとされます。一番上が絶対良い、という意味ではありません。
  • 予想外に低いクラスになった場合、12月や1月に再受験が許される塾が多いため、受け直しを検討し、クラスを上げることも選択肢です。
    • 子どもが「もう一度挑戦したい」と言っている場合は、学習を頑張ってくれるため、ぜひ挑戦させてください。

2. ミスの分析と対策

  • テスト結果がミスだらけだった場合、ミスの種類を細かく分析することが、今後の学習の「伸び代」になります。
    • 例:問題文の読み落とし、計算ミス、自分で書いた数字(例:4)を読み間違える。
    • 計算ミスをしやすいなら、計算をしないような字の書き方練習から始める必要があります。
  • 後半が白紙だった場合は、試験時間の使い方を間違えた可能性があります。難しい問題は飛ばして、解ける問題からやっていく練習が必要です。
  • 国語では、「なぜか」と聞かれたら「何々だから」と答えるなど、答え方の決まりを知らずに、語尾が不適切で減点されているケースが多くあります。

3. 最下位クラスの場合

S塾(サピックス)は平均学力が高く、他の大手塾(四谷大塚、日能研など)は平均偏差値レベルが5点分ほど低い、といった学力レベルの違いがあります。

最下位クラスでの合格であり、かつその点数が単純ミスではなく基礎的な理解不足に起因する場合は、その塾の授業についていけず「単なるお客さん」になってしまう危険性があります。

最下位クラスでついていくのは難しいことが多いため、その場合は平均レベルがお子さんに近い他塾を検討する必要も出てきます。

▢チェック7 【弱点補強法】入塾テストの対策が正しくできたと感じていますか?

再受験の対策としては、まず正答率の高い問題で間違えた箇所の間違い直しを行い、その上で「スタートダッシュ算数・国語」などの教材で弱点補強を行います。

これにより、各教科10点程度の点数アップは容易に見込めます。

難関塾(サピックスなど)を目指す場合を除き、算数では「スタートダッシュ算数」の第1章、第2章、第4章前半を中心にやれば十分です。

よくあるご相談への回答 [家庭内でのコミュニケーションがうまくいかない]

1. 子どもの会話が減る原因と親の対応
家庭での会話が勉強のことで終わる傾向や、子どもが話し始めた内容に対して親が注意を与えてしまうと、子どもは話したがらなくなります。この状況は、親が過去に「色々と言いすぎた」と反省している状況に近い可能性があります。

2. 親の聞く姿勢と相の手の重要性
低学年の子どもの会話は、文法的にめちゃくちゃであることが多いですが、親はそれを気にせず、とにかくニコニコと興味深げに聞き続けることが重要です。会話の内容や言葉遣いの間違いについては、しばらくは目をつるようにします。親は「へえ、そうだったの」「それで」といった、会話を盛り上げる愛の手を意識して使うべきです。

3. 会話をつなぐテクニックとテーマ
子どもが「足し算」のように単語で答えた場合でも、「ああ、そうなの。足し算のどういうことを?」のように話を繋ぎ、会話を続けてください。また、会話が「何々すべき」という義務的な内容に偏ると子どもは話さなくなります。それよりも「何々できるんじゃない?」といった可能性を示す話や、褒めることを多くすることで、会話量を増やすことができます。

よくあるご相談への回答2 [入塾テストで下のクラスになった、不合格になった場合どうすればよい?]

1. 答案と単純ミスの解読
入塾テストの結果が中間のクラス(12クラス中下から6番目など)だった場合、親は返却された答案と、計算などが書き残された問題用紙を照らし合わせ、子どもの解き方やミスを解読することが重要です。単純な計算ミスが多くて点数を落としている場合、再受験すればさらに上のクラスに合格できる可能性があります。

2. 低得点時の基礎学力の確認
300点満点で75点が合格点に対し68点など、極端に低得点の場合、基礎学力が十分でなく、塾の授業についていけるかという不安があります。また、回答欄を全て埋めること自体が目的化している場合もあるため、分かったものだけを埋める練習や、入塾テスト対策を再度徹底することが必要です。

3. 効率的な間違い直しと復習法
間違いが多く、全ての間違い直しをさせると子どもが嫌がるため、復習を効率的に行うべきです。正答率が高いにもかかわらず間違えた問題に絞って復習をさせ、正答率が低い難問は無視します。これにより、子どもの不慣れな部分を優先的に克服することができ、得点アップにつながります。

4. 他塾テストの活用
他の塾の入塾テストを受けることは、各塾のレベル差や雰囲気の違いを知る良い経験になります。不合格であった場合や、真ん中のクラスであった場合でも、他塾のテストを受けてある程度のクラスで合格できた場合は、そちらの塾への入塾を検討することも有効な選択肢となります。

よくあるご相談への回答3 [授業に行きたくないと言うようになってしまった。]

1. 授業拒否の原因と準備の必要性
小学3年生が10月頃に授業に行きたがらなくなるのは、現在(10月)の授業内容に2月以降の先取りが多く含まれており、難しくなってついていけなくなったことが原因です。心配ありませんが、この段階で苦手な単元が判明したため、2月に新学年が始まる前に、予習を中心とした準備を始める必要があります。

2. 他塾教材を用いた苦手単元の補強
日能研は予習が禁止されていますが、2月以降のテキストが未入手のため、予習シリーズ(四谷大塚)などの市販教材を活用します。現在つまづいている内容を予習シリーズの4年生テキストから探し、補強を行います。特に算数は、各単元の例題を2問ずつ程度行うことが推奨されています。

3. 基礎学力(計算力と語彙力)の徹底強化
4年生に必須の基礎学力は、何よりも計算力と語彙力です。計算は、毎日少しずつ「スタートダッシュ算数」第1章レベルで行い、親が計算の工夫などを確認します。語彙力については、自由自在などで慣用句や4年生の漢字を先取りして行い、2月の新学年授業がよくわかる状態を作っておくべきです。

4. 理科・社会の先読みと予習の意義
理科・社会についても必ず予習をしておくべきです。日能研の4年生の進度は他塾よりゆっくりですが、少し先読みをしておくことで、授業が格段に楽しくなります。予習を禁止する塾であっても、予習をしておくことで得られるメリットは多く、知っておくことが重要です。